2007年02月07日

蜷川幸雄演出『コリオレイナス』

蜷川幸雄演出のシェイクスピア『コリオレイナス』を彩の国さいたま芸術劇場まで行って観てきました。
ホールはとても見やすく、小ぶりで良かったんだけど…銀座から行くと遠いなぁ〜(^_^;) 遅刻を警戒しすぎて逆に早く着いちゃった。

開演30分前までは入場できないので、地下の飲食スペースの前の広場?で「さいたまアーツ・シアターライヴ」というのを入場無料でやっているのでそちらをご覧になりながらお待ち下さい♪と言われるままに地下へ。

楽器は詳しくないので良くわからないけど…シロフォンだかヴィブラフォンだかを3人の女性が演奏していた。
こういう、ゆる〜い空間が劇場の地下にあるのもいいよなぁ〜。都心にもあればいいのに…。

などと考えながら、ギリギリに到着予定の友人とメールのやり取りをしているうちに、時間が来たので入場した。

会場に入ると、ロビーに柏原なんとかという俳優がスタッフだと思われる方と立ち話…そこに世界の蜷川が加わりしばし歓談。なんかのんびりしてるよなぁ〜(笑)
ま、開演前なので当然その後、蜷川氏ひとり楽屋方向へ走り消えていきました。

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【キャスト】
唐沢寿明…ケイアス・マーシアス・コリオレイナス
白石加代子…ヴォラムニア
勝村政信…タラス・オーフィディアス

【ストーリー】
紀元前5世紀初め、共和制に移行したばかりのローマ。
食糧不足のため、貴族たちに不満を募らせるローマ市民。その中でも特に目の敵にされているケイアス・マーシアス(のちのコリオレイナス)はヴォルサイ人との戦闘に参加。都市コリオライの城内に一人閉じ込められ傷を負いながらも、敵の指揮官オーフィディアスとの一騎打ちのすえローマを勝利に導く。(注:オーフィディアスは死んでません)
ローマに帰還したマーシアスは英雄としてたたえられ、陥落した都市の名前にちなんでコリオレイナスの称号を受ける。

コリオレイナスは執政官に推薦されるが、彼の失脚を狙う2人の護民官に民衆はそそのかされ、賛成が撤回された上、反逆罪で訴えられてしまう。市民と激しく対立するコリオレイナスはついにローマから追放される。

祖国への復讐の念に燃えるコリオレイナスは宿敵オーフィディアスのもとへ。自分を追放した連中への仕返しのため、オーフィディアスに協力を申し出る。二人は和解し友情を誓い、共に戦う仲間となる。
ローマ領に攻撃をしかけるヴォルサイ軍。慌てたローマ側はコリオレイナスに和解を申し出るが、彼はかつての友人さえも無視しローマ侵略を続ける。しかし彼の母、妻、息子までもが嘆願に訪れ、さすがに心動かされるコリオレイナス。和解を受け入れローマの兵を引き揚げる。

ヴォルサイ軍内で次第に存在感を増すコリオレイナスを疎ましく思い始めていたオーフィディアスは、彼がローマと和議を結んだことに憤慨。裏切り者としてコリオレイナスを責め、殺してしまう。コリオレイナスが生き続ければ危険な存在になったと言いながらも、その生涯を称えるオーフィディアス。
とまぁ、こんな内容です。
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幕が上がってすぐに驚ろいた。幕ではなく客席に向かって全面に鏡が置かれているのだ。当然、こちら側の観客が映し出される。そして、それが開くと…舞台の左右一杯に広がる壁のような階段があり…場所が変わろうと場面が変わろうとその階段はずっと舞台の真ん中にあり続ける。

見てない方には、なんのこっちゃ? という感じだろうけど…最初は観ている私も「何じゃコレ?」 という感じでした。
いたずらに、役者の運動量を増やすだけか? なんて考えたりもしたくらい(^_^;)

その階段は、ある時は、広場だったり道だったり。戦場や部屋にもなる。階段の上に登場する、扉やふすまや壁や城への入り口によって階段は様々なもの・場所に変化する。

そして階段の高低は、立場の強弱や位の上下や高圧的だったり卑屈だったりする態度を表すのにも効果的だったように思う。

ストーリーは特に面白くて面白くて…というものではないので(^_^;) あとは、役者の腕次第、という感が否めなくも無かった。

シェイクスピアものなので、とにかくセリフが多い。日本語では通常ありえないほどに言葉を修飾しまくるので(笑)…声が掠れ気味の役者さんも数人いて聞き取りずらい箇所もあり、そのあたりはちょっとキビシかった。

主役の唐沢さんも、出だしこそちょっと声が掠れ気味かな? と思ったけど、滑舌も良くやっぱり、上手い!!
敵役(後には友人でも最後には裏切る)の勝村さんも、よく通る声で滑舌も良く、機敏で殺陣も上手くて良かったです。
「天保十二年のシェイクスピア」の時より、今回の勝村さんの方が好きだな。
ただ、これは勝村さんのせいではないと思うけど、オーフィディアスって…一体何を考えているのやら? 性格付けというか位置づけというかがイマイチ弱い感じもした。

でも、この舞台全体を、会社・重役・サラリーマン・その他の消費者と置き換えるとなんだかしっくり来るんだよね(笑) そういう現代社会の縮図にも見えたりして…オーフィディアスも含めて。舞台を観ている間中、何度となくそう思ってた(^_^;) 一度そう見えちゃうと、どんどん現代社会にも通じるところがあるように見えてきてそれが面白かった。

例えば、サラリーマンだったら…
仕事は出来るから同僚(部下)には人望があるけど、根回しなどが要領よく出来る人ではなく、しかも本音でものを言うので敵も多く、嫉妬の標的にもなりやすい。怖いもの知らずで向こう見ずな一面があるが、同時にマザコンぎみでもある…コリオレイナス。皆から高潔だと評価されるが裏を返せば融通が利かないともいえる。一般消費者向けのコメントで失言を繰り返し、クビにされ復讐のためライバル会社へ…。

仕事も出来て根回しにも如才が無く上手く立ち回る。向上心、出世欲が強くかなりの野心家であり、策略家でもあるので情だけに流されることが無い…オーフィディアス。しかし、いまだかつてライバルのコリオレイナスにだけは勝った事が無かったが、頭を下げて自分のところに出向いてきたコリオレイナスを快く迎え入れる。十二分に働かせて最後には保身のためか嫉妬からか、最初からの計画なのか…コリオレイナスを裏切る(殺す)。

こ〜んな展開かな?(^_^) サラリーマンなら殺しはしないだろうけどね。

コリオレイナスは2人の護民官の策略=情報操作によって民衆を敵に回し、追放されるんだけど…ちょうど菓子メーカーの件や情報番組の捏造事件などが話題に上ってたから、それらがオーバーラップして色々考えさせられた。私のような消費者・視聴者がこの場合の民衆。

事実は事実として受け止めるべきだけど、かなりマスコミの報道の仕方などで視聴者の受け止め方は違ってくるんだろうなぁ〜、とか。情報リークはライバルに初めから仕組まれた罠だったりとか(笑) 2時間ドラマの見すぎかもしれないけど…。無知だと情報に踊らされ、意識的・無意識にかかわらずミスリードされたり。煽られたからといって自分では何も考えず賛同したり騒ぎすぎたりするというのもある意味、罪だよなぁ、とかね(^_^)

この舞台、4月にロンドンで上演されることが決まっているからか、衣装やセットに微妙に和風な感じを含んでいるのはちょっと気になった。穿った見方かもしれないけど、媚びてるようでねぇ〜(-_-;) ちょっと嫌な感じ。

コリオレイナスの母:ヴォラムニア等、女性人の衣装は前から見るとドレスなんだけど、後ろから見ると着物っぽく見えたりとかね。他にもセットに漢字らしきものが書かれてるものが登場したりしてた。

それ以外は、出演者のパワーでグイグイと引っ張られて最後にコリオレイナスが殺されるところまで一気に見終えました。手厚く葬るように、と貴族が言い放つところでやっと救われた感が…。
posted by 放蕩主婦 at 13:57| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | ミュージカル・舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Excerpt: 蜷川幸雄蜷川幸雄(にながわ ゆきお、1935年10月15日 - )は、埼玉県川口市生まれの演出家、映画監督。俳優としての活動もある。開成高校卒業。娘(長女)は写真家..
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